愛知県岡崎市長の5万円給付事業の一件が(外から見てる分には)すごく面白かったので、思ったことをまとめておきます。
岡崎市長の5万円給付事業
まず、ざっくりと流れを整理しておきます。
2020年10月の岡崎市長選挙で、中野康浩さんが「新型コロナ対策として全市民に5万円給付します!」という公約を掲げる
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「財源はどーすんだ!」「そんな金ないぞ!」という疑問・批判が各所から相次ぐ
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ところが、中野さんが59.4%の得票を得て、見事当選!
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中野市長は市長就任後の記者会見で、財源について「裏技的というか、僕の知らない調達の仕方があるかもしれない」という名言を言う
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中野市長は約195億円増額の一般会計補正予算案を組み、市議会に提出
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2020年11月、市議会で否決(賛成2、反対34)
ざっとこんな感じです。
んで。
市長を選んだのは市民だし、地方議員を選んだのも市民、というところがポイントだと思っています。市長の公約も、市議会での否決も、どちらも市民の民意を反映したものなのです。
地方自治の仕組み

これが地方自治の仕組みをまとめた図。
政治のトップ(内閣総理大臣・首長)の選ばれ方が、国政と地方自治では異なります。
国政では、政治のトップ(内閣総理大臣)は、国民の選挙によって選ばれた国会議員の投票によって選出されています。
が、
地方自治においては、政治のトップ(首長)も市民の投票によって選出されるんです。
首長(都道府県知事・市町村長)も地方議員も、市民の民意を反映した存在だということ。
つまり!
岡崎市長の5万円給付も市議会の否決も、どちらも民意を反映している
ということなんです。
中野市長は、”民意にもとづいて選出された市長”として「全市民への5万円給付という公約を実現するぞ!」ってことで5万円給付をマジで実現しようとしたし、地方議員たちは、“民意にもとづいて選出された市民の代表“として、「全市民への5万円給付はNGだ!」ってことで5万円給付を阻止しようとした。
っていうことなんだから、議会で否決されて5万円給付の公約実現が果たせなくなった(諦めた)中野市長に対して、「嘘つき!」とか言って批判するのは違うと思うんです。
5万円給付の実現を阻止しようとした地方議員たちを選んだのは自分たち(岡崎市民)なんだから。
んで。
地方自治では、ありがたいことに住民の意思をより強く反映するための仕組みが用意されています。
それが、直接請求権です。

ということで、「(自分たちで納めた税金を使って)5万円を給付してほしい!」って願っている岡崎市民の、今後の方向性は4つあると思っています。
今後の道は4つ
①市長に解職請求(リコール)
「5万円給付の公約実現を果たさないなんて嘘つき!そんな市長は辞めてしまえ!」って本気で思っているんだったら、解職請求すればいいんです。
その代わり、市長の解職を問う住民投票や解職後の市長選挙で多額の税金が必要になります。
②市長を辞任に追い込む
リコールではなく、市長自ら辞任するように追い込むっていう手もあります。
SNSなどでひたすら「嘘つき!」って騒いでもっともっと炎上させれば、市長が辞任を発表してくれるかもしれません。
その代わり、辞任後の市長選挙で多額の税金が必要になります。
③議会の解散請求
「5万円給付を否決する議会は民意を反映していない!」って思うんだったら、議会の解散請求をすればいい。
その代わり、解散後の選挙で多額の税金が必要になります。
が、新しい議会で5万円給付が可決する可能性があるので、(多額の税金を使って)ワンチャンかける意義はあるかもです。
④現状維持
「5万円給付の公約が実現できなかったのは仕方ない。市長には他の公約実現に向けて努力してもらおう。」ってことで、市長に続投してもらうっていう現状維持の道もあります。
5万円を給付してもらうことはできませんが、「2020年10月に選挙をやったばかりなのに、また選挙するの!?」ってことはなくなります。
みなさんはどの道が良いと思います???
みんながちゃんとしないといけない
僕がこの一件を(外から面白がって)見て思ったのは、
みんなが(=市民が)ちゃんと考えられるようにならないと、とんでもないことになるのね
ってことでした。
もし中野市長の言っていること(財源の見通しもできていないのに5万円給付!って言うこと)がおかしかったのであれば、当選させちゃいけなかったんです。
最初から、”ちゃんとした人”を”ちゃんと”選んでおかなきゃいけなかった。
★★★
これは岡崎市だけの問題じゃありません。どの地域・組織でも起こりうることだと思います。
岡崎市みたいになりたくなかったら、みんながちゃんとしないといけないんです。
社会をより良くするのは自分たちなんですから。
んじゃ、またねー!